HDDは精密機器であり、衝撃などに弱く故障しやすいメディアであることは知られています。しかし、落下などの物理的要因によらず、何もしていないのにある日突然壊れることもあります。ハードディスクは消耗品であり、いつかは必ず壊れるものなのです。
HDDが故障すると、当然記録されていたデータも消失します。データが失われないためには常にバックアップをとり、定期的にハードディスクを交換する必要があります。
では、消耗品であるハードディスクの交換時期の目安はいつでしょうか。HDDが故障しやすい使用年数を理解し、適切な時期に交換をされることをおすすめします。
このページではHDDの故障特性を理解し、交換タイミングの把握に役立つ情報を提供します。
HDDが故障しやすい時期を把握する上では、以下の3つの観点から考察する必要があります。
HDDは精密機器であり、製造されたうちある一定数は初期不良品が存在します。初期不良の原因は「ファームウェア故障」「部品の不具合」など様々なものがあります。
初期不良の特性としては、使用間もない時期ほど故障発生する確率が高い事です。最初から壊れているわけですから、当然使用開始直後になるほど故障が発生します。逆に言えば、ある程度使用しても初期不良による故障が発生しない場合、その後も初期不良による故障発生確率は低下するということです。
初期不良への対策としては、HDDの使用開始直後は故障しやすいということを理解しバックアップをとることです。通常、初期不良はメーカーの保証対象となりますが記録データは保証対象外となっています。自分のデータは自分で守らなければなりません。
HDDはモーターやヘッドなど物理的な駆動を行う記録装置です。当然、使用していると摩耗などの経年劣化が発生します。経年劣化とは呼んで字のごとく、年数が経つほど劣化(故障)するというものです。ハードディスクを使用しているうちにモーターの性能が低下したり、ヘッドアセンブリの劣化によるデータの読み書き不良、状態が悪くなればプラッタスクラッチなどの重度物理障害が発生しやすくなります。
経年劣化への対策は「交換する事」ただ一つです。HDDは消耗品ですので、修理することを前提に作られてはいません。長期的な使用はデータ消失リスクを高めますので定期的に交換する必要があります。
偶発故障は、偶発的な要因による故障のことです。例えば、落下障害や水没、ショート基板故障など使用している上で発生した偶発的な事故による故障を意味します。偶発故障は年数に関係なくいつでも発生するリスクがあります。
上記3つの故障特性はまとめると以下の通りです。
故障発生率を縦軸、経過年数を横軸とした場合以下のようなグラフになります。
3つを足した場合(青)、故障率は「初期が高いが中期に向け低下し、中期は一定で後期に向かって上昇する」というグラフになります。これを故障率曲線といい、形が風呂釜に似ていることから「バスタブ曲線」と言われます。これがHDDの故障特性であり、新品でも故障率は高い点が要注意なポイントです。
一般的な製品は使う時期が長いほど故障しやすくなるものですが、HDDは使用初期も故障率が高い特性があります。その特性を理解した上でハードディスクの交換時期を知る必要があります。データ復旧センターには多数のHDD復旧実績があり、事例から判断すると使用年数と故障の関連性は以下の通りです。
このことを考えると、HDDの交換時期は3年程度であると理解できます。当然ですが、使用環境によって耐久性は大きく変動しますので、あくまで参考程度とご理解ください。また、初期不良は早い時期に発生するので、使用後に不具合が発生したら速やかに交換することをおすすめします。いずれにしろ備えあれば憂いなしですので、表立った不具合が発生していなくともある程度の年数が経ったHDDは交換することをおすすめします。
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