セクタとはHDDなどの記録装置上において、データの最小単位を意味します。データを管理する上で、どのデータがどこの場所に保存されているか管理することが必須となります。セクタはデータの住所のようなもので、セクタには番号が割り振られています。
例えば、ファイルAを読み込むとき、ファイルシステム上にはファイルAの構成データはセクタ番号〇〇番と記録されているため、ファイルAを開こうとしたときに速やかに該当セクタのデータへアクセスすることでデータの読み込みが高速化することができるのです。
実際のファイル管理上ではセクタ単位で管理するとHDDに不可がかかり処理も遅くなる(オーバーヘッド)ので、クラスタ単位でファイルは管理されています。
セクタにはデータが保存される容量が決められています。1セクタに保存される容量のことをセクタサイズといいます。セクタサイズはハードディスクにおいて512バイトが主流でしたが、2011年頃から4KB(厳密にいうと4096バイト)モデルが登場し始め、HDDの容量が劇的に増加しました。
データを大容量化するにはセクタ数を増やさなければなりませんが、セクタ数が多くなるとデータ管理の負担がその分増大し、速度の低下やデータ断片化の問題が出てきます。そこでセクタサイズそのものを増やすことで、速度性能を維持しつつ大容量化を図ることができます。4Kセクタはその概念から規格化され、現在のHDDにおいては大容量モデルは4Kセクタが採用されている場合が多いです。
上述の通り、セクタサイズには512バイトと4KBの2種類がありますが、ここで問題となるのはOSやアプリケーションなどソフトウェアの適合性です。殆どのプラットフォームは512バイトセクタに対応していますが、古いOSやアプリでは4Kセクタに対応していない場合があります。これは当時のソフトウェアが当時主流のハードウェアに適合するように設計されているため、ハードウェアの基準が変更となると当然に発生する問題です。
例えばWindowsにおいては、4Kセクタに完全対応(ネイティブ)できるのはWindows8以降のOSです。それ以前においてはAFT技術(Advanced Format Technology)を使用することで対応しています。AFT技術とは「物理的には4KBであっても、論理的には512バイトとしてエミュレートして管理する」技術であり、Windows vista とWindows7はAFT技術によって4Kセクタのハードウェアも利用できるようになっています。Vistaより前のOS(例えばXPなど)はAFTはサポートされていないため、サードパーティーのツールなどを使用して適合させる必要があります。
データ復旧においてはセクタサイズの把握は基本的な事項となります。セクタサイズはデータの最小単位であり、論理的なデータ配列がどのサイズで記録されているかを把握しない限り解析自体が実施できないからです。また、誤ったデータサイズでのアクセスを行うとデータが破損したりハードウェアの思わぬ障害が発生したりするために注意が必要です。
HDDが故障したり、誤ってデータを削除した方はハードディスクデータ復元サービスの利用をご検討ください。