ファイルシステムとはOSの機能の一つで、データファイル(画像など各種ファイルやシステムファイル)を管理する役割を持っています。ファイルシステムのおかげでデータファイルを効率的に管理でき、必要なファイルへ速やかにアクセスすることができるようになります。
ファイルはデータであり、記録装置にデジタルデータとして保存されています。ファイルシステムの主な役割は各種ファイルに管理ラベルをつけ、どのファイルがどこに保存されているかを、また現存しているのか削除されているのかなど状態も記録されます。
辞書をイメージして頂ければわかりやすいと思います。ファイルは辞書上の単語、ファイルシステムは索引であるとイメージすれば良いでしょう。索引が無ければ、目的の単語を調べるために1ページ1ページ確認していかなければならず、非常に手間がかかります。索引があることで単語の記載情報を速やかに把握することができるのです。
ファイルシステムはOS機能の一つであり、OSごとに異なる特性を持つファイルシステムがあります。以下に代表的なファイルシステムをご紹介します。
NTFSはWindowsにおける代表的なファイルシステムであり、パソコン環境においては最も身近なファイルシステムです。現在、Windowsパソコンの殆どのCドライブはNTFSで構成されています。
従来のWindowsのファイルシステムはFATが主流でしたが、NTFSはFATの進化系としてリリースされ、Windows XPから採用されています。FATに比べ耐障害性・機能性・利便性・セキュリティなどにおいて優れたファイルシステムです。ただし、NTFSはWindows専用に設計されたファイルシステムであり、別OSとの互換性は低いファイルシステムです。
マイクロソフト社が開発したファイルシステムであり、クラスタ識別子のビット数に応じて複数の種類があります。その中でもFAT32は多く使用されており、32ビットのクラスタ識別子を持つファイルシステムです。
現在のWindowsはNTFSが主流であり、システム領域のフォーマットとしては過去のファイルシステムとなっていますが、Macなど別OSとの互換性を持つために外付けHDDやデジタルカメラ・スマートフォンのSDカードフォーマットとして幅広く利用されています。
しかし、FAT32はシステムの制限上、1ファイルあたり4GBまでしか利用できないため昨今のデータ大容量化社会としては不十分な機能と言えます。
exFATはフラッシュドライブ向けに設計された新しいファイルシステムであり、FATの利便性を更に向上させています。FAT32と比較して1ファイル4GB制限が無いなどの利点が多く、またOS間の互換性も高いため外付けHDDやデジタルカメラ・SDカードなど幅広く利用されています。
HFS+はMac OS用の主要ファイルシステムです。HFSに替わる新世代のファイルシステムであり、大容量化・マルチフォーク対応による利便性・耐障害性が向上されています。MacパソコンだけではなくiPodなどのアップル製品にも採用されています。
XFSはLinuxにおけるファイルシステムの一つであり、高度な機能を持つジャーナリングファイルシステムです。データサーバーやNASにおいて採用されていることが多く、ext3やext4に並ぶ主力ファイルシステムといえます。
extはLinuxにおけるファイルシステムの一つであり、高度な機能を持つジャーナリングファイルシステムです。世代によりext2,ext3,ext4と命名されています。データサーバーやNASにおいて採用されていることが多く、XFSに並ぶ主力ファイルシステムといえます。
ファイルシステムが原因によりデータが失われることはよくあります。何故ならファイルシステムは全てのデータファイルを管理しており、管理システムであるファイルシステムが壊れるとデータファイルが認識できなくなるからです。
ここでは代表的なファイルシステム障害をご説明します。
ファイルシステムは様々な機能を持っており、構造が複雑です。何かしらの原因によりファイルシステムにエラーが発生すると、記録されていたデータへのアクセスやドライブへのアクセスができなくなります。
ファイルシステムの互換性不足によるエラーもデータ障害の主原因の一つです。このエラーは異なるOS間での利用や上位互換性のないファイルシステムを使用しているデバイスでの利用時に多く発生します。
昨今多い事例は、Androidスマートフォンで使用するmicroSDカードで、exFATでフォーマットされるスマートフォンで使用していたmicroSDカードを、exFATフォーマットに対応していないスマートフォンに差し替えて使用していたとき、最初は利用できていたが突如カード異常が発生するという事例です。
これはexFATは下位互換性を持つがFAT32は上位互換性を持たないために発生するエラーです。
データ復旧の観点
データ復旧を行う上でファイルシステムの把握は基本的に理解するべきであり、どのシステムが使われているか、またその特性はどんなものかを理解した上でデータ復旧を行う必要があります。
特に、HDDのファイルシステム障害への対処法やRAIDサーバーやNASのファイルシステム障害の対処法は障害悪化の危険性を少なくするために専門的な知識と技術をもって対処する必要があります。